井戸ポンプの仕組みと種類を解説!快適な井戸生活を送るためのガイド
近年、家計の節約や災害対策への備えとして、井戸の設置が注目されています。井戸があれば、水道代を節約でき、停水時も安心して生活を送ることができます。
しかし、一口に井戸ポンプといっても、手動式と電動式があり、それぞれ特徴が異なります。
この記事では、井戸ポンプの種類と仕組み、手動式と電動式のメリット・デメリット、選び方のポイントなどを詳しく解説します。自分に合った井戸ポンプを選んで、井戸水生活をもっと便利に、そして安心安全にしましょう。
目次
井戸ポンプとは?
井戸ポンプは、井戸水をくみ上げるためのポンプです。農業・家庭用水・工業用など、様々な用途で使用されています。井戸ポンプには大きく分けて浅井戸ポンプと深井戸ポンプの2種類があります。
浅井戸ポンプは、地表から8メートル程度の浅い井戸で使用されるポンプです。大気圧を利用して水をくみ上げるため、構造が比較的簡単で安価です。揚水量は少ないですが、電気代がかからず、騒音も少ないというメリットがあります。
一方で深井戸ポンプは、8メートルよりも深い井戸で使用されるポンプです。こちらは、水中ポンプとジェットポンプの2種類があります。
水中ポンプは井戸水中に設置し、直接水をくみ上げます。ジェットポンプは地上に設置し、井戸水に圧力をかけてくみ上げます。深井戸ポンプは揚水量が多いですが、浅井戸ポンプよりも高価です。
さらに、井戸ポンプは動力源によっても種類があり、手動式のポンプと電動式のポンプに分類できます。手動式と電動式は、浅井戸ポンプと深井戸ポンプそれぞれに共通する項目です。次の章では、手動ポンプと電動ポンプを詳しく紹介します。
手動ポンプについて
手動ポンプは、人力でレバーを上下させて水を汲み上げるポンプです。手動ポンプは主に浅井戸で使用される場合が多いです。手動ポンプは、ピストンやレバーの動きを利用して、井戸水を真空状態にして汲み上げる仕組みです。
具体的には、以下のような手順で水を汲み上げます。
①レバーを下ろす
ピストンがシリンダー内に押し込まれます。
②シリンダー内の圧力が低下
周囲の大気圧によって、井戸やタンクの水がシリンダー内に上がってきます。
③レバーを上げる
ピストンがシリンダー内を上昇し、水を押し上げます。
④水が吐出される
蛇口から水が勢いよく出てきます。
手動ポンプのメリット
昔懐かしい手動ポンプのメリットは以下になります。
・電気代がかからない
電気を使わずに水を汲み上げることができるため、コストが抑えられます。電気代の高騰対策として、長期的な視点で見ても非常に経済的と言えます。
・災害時に役立つ
電気を使うことが無いので停電時でも使用できます。
・環境に優しい
上記でも説明している通り手動ポンプは電気を使わないため、CO2を排出せず環境負荷が少ないエコなポンプです。
手動ポンプのデメリット
上記のようなメリットもありますが、もちろんデメリットも存在します。
・水汲み作業が体力を使う
どうしてもレバーを上下させる力が必要なため、女性や子ども・高齢者にとっては使いにくい場合があります。
・揚水量が少ない
一度に汲み上げられる水の量が少ないため、大量の水が必要な場合は不向きです。
・設置場所が限られる
井戸やタンクの近くに設置する必要があるため、設置場所が限られます。また、ポンプを動かすためのスペースも必要となります。
・設置費用がかかる
手動ポンプの設置には、ポンプ本体代だけでなく、井戸掘削代や配管工事代などの費用がかかります。トータルで見ると、ランニングコストはゼロですが、初期費用は高くなります。
・定期的なメンテナンスが必要
手動ポンプは、ポンプの油をさしたり部品を交換したりする必要があります。メンテナンスを怠ると、故障の原因となります。
・井戸水質によっては浄水が必要
井戸水は、水道水と比べて不純物が多く含まれている場合があります。井戸水の質によっては、浄水器を設置する必要があります。
井戸水用手動ポンプは、メリットとデメリットをよく理解した上で、設置を検討することが重要です。自身のライフスタイルや体力、設置場所などを考慮し、自分に合ったポンプを選ぶようにしましょう。
手動ポンプの選び方
手動ポンプといっても、さまざまな種類や性能のものがあります。用途や設置場所、予算に合わせて最適な1台を選ぶために以下の7つのポイントを見ていきましょう。
①井戸の深さ
井戸の深さは、手動ポンプの揚水能力に大きく影響します。一般的に、以下の目安でポンプを選ぶことができます。
井戸深さ6m以内:浅井戸用ポンプ
井戸深さ6~10m:ジェット式浅井戸用ポンプ
井戸深さ10m超:深井戸用ポンプ
②使用頻度
井戸水を汲み上げる頻度によっても、適したポンプは異なります。
日常的に使用する:丈夫で長持ちする鋳鉄製ポンプ
稀に使用する:軽量で持ち運びやすいアルミ製ポンプ
③設置場所
ポンプを設置する場所の広さや地面の状況によっても、適したポンプは異なります。
設置スペースが狭い:コンパクトな一体型ポンプ
地面が柔らかい:基礎が必要な据え置き型ポンプ
④その他の機能
手動ポンプには、以下のような機能が付いているものもあります。
ストレーナー:ポンプ内に異物が入るのを防ぐ
吐出口バルブ:水を止めることができる
圧力ゲージ:水圧を確認できる
⑤メーカー
井戸水用手動ポンプを製造しているメーカーは複数あります。各メーカーの製品を比較し、評判の良いメーカーを選ぶことをおすすめします。
⑥揚水能力(ようすいのうりょく)
1回で汲み上げられる水の量(揚水量)も重要なポイントです。必要な揚水量よりも多いものを選ぶようにしましょう。
💡揚水能力とは?
ポンプが水をどれだけ高く、どれだけ速くくみ上げることができるかを表す指標です。
手動ポンプの設置を検討されている場合は、メリットとデメリットをよく理解した上で、ご自身のライフスタイルに合致するかどうか判断することをおすすめします。
電動ポンプについて
電動ポンプは、電気を使って水を汲み上げるポンプです。井戸水だけでなく、地下水や貯水槽の水などを汲み上げるために使用されます。
①モーターが回転する
電源を入れると、モーターが回転を始めます。
②インペラーが水を押し上げる
モーターの回転によって、インペラーが水を押し上げます。
③水が吐出される
押し上げられた水が、吐出口から排出されます。
電動ポンプのメリット
電動ポンプは手動ポンプのデメリットを解決してくれるメリットがあります。
・利便性が高い
蛇口をひねるだけで水が使えるため、力を使わずに水を汲み上げることができます。
・揚水能力が高い
手押しポンプよりも多くの水を汲み上げることができます。
・自動運転が可能
水位センサーと連動させて、自動的に水を汲み上げることができます。
・メンテナンスが比較的容易
手動ポンプと比べて、メンテナンスの手間が少ないです。定期的に点検する必要はありますが、日常的なメンテナンスはほとんど必要ありません。
電動ポンプのデメリット
電動ポンプは、手動ではないためどうしてもコストがかかってしまいます。以下で詳しく解説します。
・電気代がかかる
電気を使って動くため、電気代がかかります。
・停電時に使用できない
発電をしようしているため、停電時には使用できません。
・騒音の発生
モーターの音が気になる場合があります。
電動ポンプの選び方
電動ポンプには、水槽が満タンになると自動的に停止する機能の自動停止機能、水が逆流することを防ぐ機能の逆流防止弁、水圧を調整する機能の圧力調整機能がついているものがあります。
電動ポンプを選ぶときは以下の3つのポイントをチェックしましょう。
①必要な揚水量
必要な揚水量が多い場合は、揚水能力の高いポンプを選ぶ必要があります。
②設置場所
設置場所のスペースや騒音の問題などを考慮する必要があります。
③予算
電動ポンプは、約5万円から20万円までと価格が幅広いです。予算に合わせて適切なポンプを選ぶ必要があります。
電動ポンプを選ぶ際は、揚水量や設置場所・予算などを考慮し、メリットとデメリットを理解した上で、自分に合ったポンプを選ぶことが大切です。
まとめ
手動ポンプと電動ポンプは、それぞれ異なる特徴と役割を持っていることをご紹介しました。設置場所や用途、予算などを総合的に判断し、自分に合ったポンプを選び、家計の節約にもなります。
災害時には救世主にもなってくれる井戸ポンプを使用して快適な日常をお過ごしください。